「天気予報は晴れだったのに、急な通り雨に降られた」「傘をさしていたけれど、バッグの端だけびしょ濡れになった…」
通勤や外出の際、こんな経験をしたことはありませんか?丈夫さが魅力の帆布(キャンバス)バッグですが、素材は綿や麻などの天然繊維。
ナイロンのように水をはじくわけではないため、濡れたまま放置すると雨シミやカビ、最悪の場合は型崩れの原因になってしまいます。
しかし、濡れてしまっても大丈夫。帆布は本来、帆船の帆に使われるほど水に強く、タフな素材です。正しい対応とケアを行えば、ダメージを最小限に抑え、むしろそれが味に変わります。
本記事では、帆布バッグが水に濡れてしまった時の対処法から、やってはいけないNG行動、そして雨の日も快適に使うための予防法までを徹底解説していきます。
雨に濡れた時の対処法
雨に濡れて帰宅した際、まず最初にやるべきことは何でしょう。
慌ててドライヤーで乾かさず、落ち着いて応急処置をするべきです。
中身をすべて取り出す
まず、バッグの中身を取り出しましょう。特に注意したいのが、濡れたバッグの中に革財布やスマートフォン、手帳などを入れっぱなしにすることです。湿気がこもって中身故障・変質するだけでなく、革小物の染料が濡れた帆布に移り(色移り)、とれないシミになってしまうリスクがあります。
乾いた布で「トントン」と水気を吸い取る
乾いたタオルや布を用意し、濡れた部分の水分を拭き取ります。
ここで絶対にやってはいけないのがゴシゴシこすることです。濡れた帆布は繊維が膨張して柔らかくなっています。この状態で強く擦ると生地が毛羽立ったり、染料が落ちて色が薄くなったりする原因になります。
泥はねがある場合は「触らない」
もし一緒に泥が跳ねて汚れてしまっている場合、濡れているうちに拭き取ろうとするのは逆効果です。
泥が繊維の奥深くまで入り込んでしまいます。泥汚れは「完全に乾いてからブラシで払い落とす」のが鉄則。この段階では泥に触れず、水分だけでケアしてください。
【乾燥工程】型崩れとカビを防ぐ干し方
水気をある程度吸い取ったら、次は乾燥です。
ここでのポイントは「形を整える」ことです。
新聞紙やタオルを詰め込む
濡れた帆布は乾く過程で収縮する性質があります。そのまま放置するとシワになったり、バッグの形状が歪んでしまいます。これを防ぐために、バッグの中に丸めた新聞紙やタオルをパンパンに詰め込みましょう。詰め物は、内側から水分を吸い取ってくれると同時に、乾燥時の縮みを防ぐ型の役割を果たします。
※新聞紙を使う場合、インクかバッグの内装に移る可能性があるため、白い紙やタオルの上から詰めるのがオススメです。
風通しの良い日陰で干す
直射日光は厳禁です。急激な乾燥は生地を傷め、紫外線は色あせの原因になります。必ず風通しの良い日陰を選んで干してください。サーキュレータや扇風機で遠くから風を当てるのは効果的ですが、温風は避けてください。
生乾きはカビの元
「表面が乾いたらもう大丈夫」とすぐにクローゼットにしまうのは危険です。帆布は厚手であるため、表面が乾いていても芯の部分や、生地が重なっている縫製部分は湿っていることがよくあります。このわずかな湿気がカビの原因になります。指で触って冷たくないか確認し、念の為にプラス1日は風に通しておくと安心です。
【要注意】帆布×本革コンビバッグの場合
CuirVelo(キュイベロ)のように、帆布と本革を組み合わせたバッグの場合は、より注意が必要です。一般的に、革は帆布より弱い素材です。
革部分を優先して拭く
革は水にぬれると即座に水ぶくれのようなシミになることがあります。帆布よりも先に、革部分の水分を完全に吸い取ってください。
オイルケアは乾いてから
濡れて油分が抜けた革には栄養補給が必要ですが、濡れている状態でクリームを塗るのはNGです。完全に乾いた後、デリケートクリームなどで保湿をしてあげましょう。
やってはいけない!NG行動
良かれと思ってやったことが、バッグの寿命を縮めてしまうことがあります。以下の3つは絶対に行わないでください。
ドライヤーや乾燥機を使う
「すぐ使いたいから」と熱を加えて強制的に乾かすのは絶対にやめましょう。綿素材は熱に弱く、急激な熱乾燥は縮みを引き起こします。一度縮んでしまった帆布を元のサイズに戻すのはほぼ不可能です。
洗濯機で丸洗いする
「細かい手入れは面倒だから洗っちゃおう」と洗濯機に入れるのもNGです。帆布バッグの中には、ハリや硬さを持たせるためにパラフィン加工が施されているものもあります。洗濯機で洗うとこれらが落ちてしまい、バッグがクタっとして自立しなくなります。
漂白剤を使う
雨シミが気になっても塩素系漂白剤などは使用しないでください。生なりや色付きの帆布の色が抜け、まだら模様になってしまいます。
もし雨シミが出来てしまったら?
乾いた後に、水滴の跡が輪っかのようなシミとして残ってしまうことがあります。これは、生地に含まれる汚れやノリの成分が、水によって縁に移動して固まるために起こります。
あえて全体を濡らして馴染ませる
部分的な輪ジミができてしまった場合、その部分だけを綺麗にするのは非常に難しいです。勇気がいりますが、固く絞った濡れタオルで、バッグのパネル全体を均一に拭き上げると有効的です。シミの境界線をぼかすように全体を湿らせ、再度きれいに乾燥させることで、目立ちにくくさせることが出来ます。
雨の日でも安心!カンタン予防策
防水スプレーを使う
一番手軽で効果的なのが防水スプレーです。
買いたての時や、定期的なメンテナンスとしてスプレーを吹きかけておくだけで水滴をコロコロとはじいてくれます。汚れ防止の効果もあるため一石二鳥です。
防水スプレーには主にフッ素系とシリコン系の2種類あります。
革や帆布のバッグには、使い勝手のいいフッ素系の防水スプレーがオススメ。シリコン系のスプレーと違って通気性を保ってくれます。
CuirVeloでは、フッ素系の防水スプレー「アメダス(AMEDAS)」を取り扱っています。バッグをご購入の際はぜひ一緒に手に取ってみてください。
防水スプレーの使い方
バッグから30cmほど離れた位置から、全体的にふわっとスプレーします。(スプレーしすぎ注意!)
パラフィン加工のバッグを選ぶ
わざわざメンテナンスをするのがめんどくさい…という人には、「パラフィン加工」が施された帆布を選ぶのも一つの手段です。
ロウが繊維に染み込んでいるため、買いたての時から高い撥水性を持っています。使い込むと徐々に撥水性は落ちていきますが、ヴィンテージのような風合いを楽しむことが出来ます。
まとめ
帆布バッグにとって水は劣化の原因になりますが、そこまで恐れる必要はありません。
正しいケアを行えば、機能性を損なうことなく使い続けることが出来ます。長く愛用している帆布バッグに見られる多少の色あせやクタッとした質感、新品には出せない味があります。
雨の日も風の日も共に移動をしてきた証としてバッグに刻まれる。
そんな経年変化をバッグと共に楽しみましょう。
